餅には、もち米を蒸して搗いた「搗き餅」と、小麦粉などの穀類を粉にして練った「練り餅」がありますが、ここでは日本の餅の大部分を占めている搗き餅を、いつでも食べやすく、そして保存性を高めた「包装もち」について解説します。
日本では、稲作信仰が始まった弥生時代にはすでに搗き餅が食されていたようです。単なるおいしい食べ物としてではなく、神が宿る特別な存在だったようです。今でも正月などハレの日に餅を食べる習慣があることからも、それは想像に難くありません。
各地の郷土食をみても分かるように餅には、いろいろな楽しみ方ができること、運動中の主なエネルギー源となる炭水化物が豊富に含まれていること、消化が緩やかでゆっくりとエネルギーに変わること、などのメリットがあります。
この餅をいつでも簡単に食べやすく、保存性を高めたのが包装もちです。原料米を蒸して粗練りの後に搗いた餅は、製法によって包装板もち、殺菌切りもち、生もち・個包装もちの3つに分かれます。
搗き餅を計量袋詰し脱気包装後に加熱殺菌、冷却したのが包装板もち。搗き餅を成型、冷蔵固化、切断後、真空包装、加熱殺菌、冷却固化、袋詰めしたのが殺菌切りもち。同様に切断後、脱酸素剤と一緒に袋詰めしたのが生もち。切断後に個別包装したものを脱酸素剤と一緒に袋詰めして密封したのが個包装もちです。生もち・個包装もちが全体の約90%を占めています。
なお、全国餅工業協同組合では、安価なとうもろこしでん粉や外国産もち米粉などを使用した包装もちとは差異化した国内産水稲もち米100%を推奨しています。(参考URL:全国餅工業協同組合・100%お餅ミュージアム http://www.omochi100.jp/index.html )