調味料類のことを「料理の名脇役」と呼ぶ人も多い。もちろん料理には素材が大切であることは承知しているが、小弟は調味料こそ「料理のスター」であると考えている。調味料と素材、または調味料同士の絶妙なハーモニーが「料理」そのものであると…。
何も「食通」のような難しいことを言っているのではない。世界の地域・地域で、その風土に合った料理が脈々と続いているのも、調味料あってのこと。広い意味では人間の味覚がここまで発達したのも、調味料を駆使した料理のおかげとも言えるだろう。
刺身や寿司、天ぷらなどの日本食が世界にこれだけ広まったのも、しょうゆやワサビ、出汁(だし)由来の独特の「うま味」があったことに他ならない。また、我が家で食す廉価な刺身でも、しょうゆなどにひと工夫を施すだけで、見違えるほど旨くなる。
言葉を間違えると、大きなお叱りを受けることになるが、リーズナブルな価格がウリのチェーン居酒屋やチェーンレストランが人気なのも、メニューの創意工夫、すなわち調味料の力によるところが大きいと考えているし、それはそんなに的外れではないだろう。
話は変わるが、味覚は個人によって千差万別。人が美味しいと感じても、自分には「ちょっとなぁ…」という場合も多々あるのでは?そんなとき、自分なりに工夫、チャレンジするのも楽しい。小弟は好みの塩を小びんに入れて持ち歩いている。
呑兵衛ゆえに、料理の味が薄いと感じることがある。そんなときに、ごく少量だが「マイ塩」を加えている。大概はこれで解決するのだ。一時、誤解が多かったうまみ調味料も至極便利だ。端っから毛嫌いせずに、試してみてはいかがだろうか。
また、自分の好みを大切にし続けることも、食の楽しみのひとつだろう。例えば、揚げ物でもとくに魚介類のそれには「何がなんでもしょうゆ」という人も少なくないし、中にはとんかつ、天ぷらもしょうゆと決めている人もいる。そんな頑固さも、料理をおいしくいただくコツでもある。