酒とは兄弟関係、健康増進にも役立つ「食酢」

 フランス語では酢を、vin(ワイン)とaigre(酸っぱい)を合させた言葉である「vinaigre(ビネーグル)」と言います。日本語でも酒と同じ「酉」が使われているように、酢と酒は密接な関係にあり、古くから日本食には欠かせない調味料のひとつです。
 蓄えた果実などが自然にアルコール発酵したのがワインの起源。ワインに酢酸菌が働いて生まれたのが酢とされているように、その起源はワインとほぼ同じ頃と考えられています。広く普及するまでは一部の特権階級が薬のように用いていたと云われているのも、ビールやワイン、味噌などと似ています。日本では、中国から酒の造り方とほぼ同時に伝来、奈良時代の「万葉集」には酢料理の「なます」を詠んだ歌があるように、すでに酢の製造が行なわれていました。一般に調味料として広がったのはやはり江戸時代。それが寿司の誕生につながり、今では食欲増進や減塩、防腐、疲労回復などの効能も認められ、様々な料理にかかせない調味料として、また、飲用やサプリメントとしても広く使われています。
 食酢は醸造酒と合成酢に大別されますが、氷酢酸や酢酸を水で薄め、砂糖類や調味料を加えて造る合成酢は、生産量もごくわずかで家庭用としては使われていません。大半を占めるのが醸造酢で、これは穀物酢(コメ、小麦、大麦、酒粕、コーン等の穀類を1種または2種以上しようしたもの)と果実酢(果実を1種または2種以上使用したもの)に分かれます。穀物酢は米酢、米黒酢、大麦黒酢に、果実酢はりんご酢とぶどう酢にそれぞれ分類されます。なお、近年の食酢生産量のほぼ全量が醸造酢です。(参考URL:全国食酢協会中央会http://www.shokusu.org/index.html )