最も身近で手軽なお酒のひとつ「ビール類」。アルコール度数が約5%と低いのも背景にありますが、日本のビール類の大きな特長は、3つのカテゴリーが存在することです。これは世界でも例がありません。
ビールの起源は紀元前4,000~3,000年頃の古代メソポタミアまで遡ります。この大麦原料の醸造酒は、日本では1870年頃に横浜で初めて製造されました。そして、第2次世界大戦後には、日本の急速な経済成長と食の変革に伴って国産ビールの消費量は急増、全酒類の70%を占めるまで成長、消費のピークは1994年の713万5,000klでした。同年秋に価格の安い発泡酒が登場、2002年には更に廉価な新ジャンル(俗称・第3のビール)が登場、近年は、料飲店ではビールを、家庭では新ジャンルや発泡酒を、という消費構造が定着しています。また、新ジャンルや発泡酒は製法上の制約がビールに比べて少ないため、健康機能などの新しい価値が付加された製品が多いのも特長です。
そのような日本のビール類ですが、20年10月の第一弾を皮切りに、ビール類酒税の一本化が進められ、26年10月に完全一本化が実現する予定です。多少の価格差は残るものの、酒税が一番高いビールにとっては追い風。その後の“ビール復権”につながるのか、注視されるところです。また、市場占有率はまだまだ小さいとはいえ、個性が光るクラフトビールも、徐々に脚光を浴びつつあります。(参考URL:ビール酒造組合 https://www.brewers.or.jp/ 、発泡酒の税制を考える会 https://www.happoshu.com/index.html)