日本への伝来は幕末。以降、現在に至るまで飲み継がれてきたラムネ。語源は「レモネード」とも云われているが、その最大の特長はガラス玉による密閉でもある。現在のように王冠やスクリューキャップのない時代のこと、もともとはコルク栓だったものが、イギリスでガラス玉を使って栓をする方法が考案された。その特許が切れた際に、大阪で初めてガラス玉入りのガラスびんが作られたようだ。ガラス玉がびんの真ん中に落ちた状態で原液と炭酸を注入、その後すばやくびんを逆さまにすると、ラムネ液に含まれる炭酸ガスの圧力でガラス玉が飲み口の内側に圧着されて栓になるわけだ。
一説には、大阪でラムネの栓に利用できる良質のガラス玉を「ええ玉(良い玉)=A玉」と言い、基準外のガラス玉は「B玉=(B級の玉)」と呼ばれたようだ。大阪商人がラムネの栓には利用できない「B玉」を子供のおもちゃとして駄菓子屋などに販売したのがビー玉の始まりとの説がある。また、ポルトガル語でガラスを意味する「ビードロ」がなまり、「ビードロの玉」すなわち「ビー玉」となった説もあるようだが、本当のところはどうなのだろうか。
子供の頃、外で遊ぶことがほとんどで、普段は喉が渇くと学校や公園の水道水を蛇口から直接ガブガブ飲み、小遣いを持っている時は駄菓子屋で冷えたラムネをよく飲んだものだ。慣れないとビー玉が邪魔で飲みにくかったが、上手く飲めたときは一段と爽やかだった。そのラムネもすべてがガラスのびんは見ることがなくなった。今の清涼飲料はほとんどが缶かPET、紙パック入りだ。容器の発達とともに、清涼飲料業界も大きく発展してきたが、冷たい感触だがなぜか温かさを感じるガラスびんは、どんどん減っている。そういえば、家のガラスも昔は歪んでいて、それを通した景色も見る角度で微妙に変化したものだ。