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日刊食品通信
2017年7月10日

日欧EPAが大枠合意、酪農家への支援が急務


ソフト系チーズに低関税輸入枠

  日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が大枠で合意した。最大の焦点だったソフト系チーズは、低関税輸入枠を設けることで決着。枠は初年度の2万トンから16年目に3.1万トンまで拡大し、枠内税率は段階的に引き下げ、16年目に無税にする。ソフト系は環太平洋連携協定(TPP)で関税を維持したが、自動車などの関税撤廃を得るため譲歩した形だ。競争力を増した欧州産チーズが国内市場に浸透することで、酪農家への影響が懸念される。

 日本では現在、輸入ナチュラルチーズに対し、最大29.8%の関税を課しているが、発効後は輸入枠分の数万トンが低関税で流入することになる。欧州は世界のチーズの約5割を生産するとともに、長い歴史を背景としたチーズ文化の「本場」。カマンベールで知られるフランスでは、1,200種以上のナチュラルチーズが登録され、「それぞれの村にそれぞれのチーズがある」と称されるなど、多種多様なナチュラルチーズが生産されている。生乳段階からチーズ向けに生産するなど品質やブランド力が高い欧州産チーズの台頭に対し、生産者は「市場を占領され、国産品の需要が失われてしまうのではないか」と危惧している。

 現在、欧州産チーズは年間輸入量の27%強の約6万8,300トン(16年)が輸入されている。すでにEPAを締結したオーストラリアとともに、今後輸入量は拡大する見通し。チーズの国内シェアが海外産に奪われた場合、使い道を失った北海道の生乳が飲用に流れ込む可能性が高く、乳価下落を引き起こす懸念もある。近年、弱体化が進む酪農基盤は、再整備が喫緊の課題だが、さらに日欧EPAに対する支援策が求められる。 

▼以下略

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